虫の声は話し声⁈

エセンティアの坂井紀子です。
立秋を迎えた途端、夜布団に入ると虫の声が聞こえてくるようになりました。
我が家の庭に住んでいるのはコオロギのようです。
そういえば朝晩はだいぶ暑さが和らいで、風も心地よいものに変わってきました。
少しずつ秋に向かっているのですね。

日本語の脳

『虫の声』と言いますが、実際には鳴いているわけではなく、はねを擦り合わせている音のことですね。
昔からこの虫の声を美しい秋の音色と捉え、俳句に取り入れたり、愛でている人種は世界でも日本人くらいだそうです。

それはなぜでしょう?

実は世界のほとんどの人々は虫の声を雑音と捉えているそうで、日本人とポリネシア人だけが、人の声と同じように捉えているそうなのです!
雑音に聞こえるとは…なんとも驚きました。

以前『日本耳』というお話をさせていただきましたが、今回は『日本語の脳』が関係しているというお話をさせていただきます。

 

人間の脳は右脳と左脳とに分かれていますね。
右脳は音楽脳と呼ばれ、音楽や機械音、雑音を処理。
左脳は言語脳と呼ばれ、人間の話す声の理解など、論理的知的な処理をしているそうです。

それは日本人も西洋人も一緒なのですが、虫の声をどちらの脳で聴くかという点に違いがあるということです。
西洋人は虫の声を機械音や雑音と同じく音楽脳(右脳)で処理し、日本人は言語脳(左脳)で受けとめ、虫の音を『虫の声』として聞いているということになるそうです。

日本人は無意識のうちに虫の声を人の声と同じようにとらえて、そこに様々な感情を読み取っている。
これは遺伝的な現象ではなく、日本語を母国語として育つことで現われる現象で『日本語の脳』というそうです。
アメリカ人の両親から生まれた子供でも、幼い頃から日本語で育つとこのような脳になり、逆に日本人でも外国語を母国語として育てられるとそうならないそうなのです。

 

生きとし生けるもの

実験では虫の声以外にも、母音、泣き・笑い・嘆き、虫や動物の鳴き声、波、風、雨の音、小川のせせらぎ、邦楽器音などを、日本人は言語脳(左脳)で聴き、西洋人は音楽脳(右脳)で聴いていたそうです。

これは、人間も虫も同じ一つの命を持つ『生きとし生けるもの』として声や思いを持ち、山や川、海などありとあらゆる自然物には神が宿り、人間はその一員に過ぎないという日本古来からの自然観が関係しているようです。

日本語にはたくさんの擬声語、擬音語が存在しています。
例えば小川は「サラサラ」、波は「ザブーン」、雨は「シトシト」、風は「ビュウビュウ」。
まるで自然物すべてが「声」を持っているかのように表現されます。
このような擬声語、擬音語を幼い頃から言葉として、言語脳(左脳)で処理するようになっていくそうです。

 

日本古来からの自然観、私はとても気に入っています。
全ての物・命を尊重する、大切にする想いが大好きです。
そしてそれを繊細に表現できる、日本語もとても素敵だと思います。
私たちはそんな素敵な言葉を日々使っているのですね。
なんだか誇らしく感じます。

世界の中でも違った感性を持った日本人は、もっともっと独自性を生かしていけるのではないでしょうか?
世界で見てもそうですが、まずは私たち個人がもっと自分の個性を表現していくことで、個々の違いを知り、認め合い、生かしあいませんか?
これから『みんなと同じに』が安心だった時代から、『違いを生かしあう』時代へ変化していくのかもしれませんね。

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