テレビを観なくなった私が、唯一楽しみにしているドラマ
ふと気づけば、ここ数年テレビを全く観ていませんでした。
しかし、今は一つだけ、毎週楽しみにしているドラマがあります。
今季始まったその作品は、2012年に第1シーズンが、2014年に第2シーズンが放送された、11年ぶりの続編。
小泉今日子さんと中井貴一さんがW主演の『続・続・最後から二番目の恋』です。
登場人物の年齢設定は、59歳と63歳。
私より少し上の「お姉さん」「お兄さん」たちですが、共感する場面が多くて真剣に見入ってしまいます。
不器用で、真剣に生きる姿に心が掴まれる
年齢を重ねたからこその迷いや痛み、不器用さ。
でもそれを抱えながらも、それでも進もうとする彼らの姿に、心をギュッと掴まれるんです。
そしてそこに自分の今を重ねて心揺さぶられることに「あぁ、私もオトナになったんだなぁ」と感じたり。
というのも、第1シーズンを観ていた42歳の頃は、「こんな感じのオトナ、素敵だな」と主人公たちに憧れを抱きつつ、どこか他人事のようにも観ていたのですが・・
今はその言葉一つひとつが、自分のことのように沁みるから、なんですね。
「困ることも」「期待されること」も、人生の大切な時間
その中で、今回は特に心に深く残ったセリフがありました。
中井貴一さん演じる和平に、柴田理恵さん演じる市長が、市長職の後継者としてあなたを、と話す場面。
市長〉
「困るというのはね、誠実で愛があることなのだと思います。不誠実な人は困りません。困ったふりをしているだけです。
でもあなたは違う。いつだって真剣に困っている。」
そして、その後に続く言葉が、私の心にじんわりと染みわたりました。
「市長にならないか、なんて誘われることはなかなかあることではありません。まずはそれを誇りに思ってください。そして、”期待されている”という時間をきちんと味わってください。」
「たとえ断るとしても、返事をするそれまでの時間は少し世界が違って見えるはずですよ。」
なんて優しくて、力のある言葉なんだろうと思いました。
そして、「困る」という状態を、今までこんなふうに肯定されたことがあっただろうか・・。
信頼・愛・自己価値・自己肯定・自己認識ーー
最近考えていたことのすべてが、このセリフに凝縮されているような気がして。
あぁ、そうか。
「困る」って、恥ずかしいことでも、自分がだめだということでもないんだーー
真剣に生きている証なんだ、とそんなふうに言ってもらえた気がしました。
その瞬間、優しい気持ちになったのを覚えています。
期待されることを、重荷や責任として受け取ってしまいがちな私たち大人にとって、
「まずは、それを誇りに思ってください」というこの言葉は、まるで温かい贈り物のようでした。
和平が「市長がそのように思ってくださることをきちんと受け止めて、じっくり考えさせていただきます」と答える姿もまた、静かであたたかくて。
お二人の信頼関係と、年齢を重ねたからこそ醸し出される空気感が本当に素敵でした。
いろいろある。それでも生きていく
年齢を重ねるほどに、自分の「できなくなったこと」が気になったり、それを老いと結びつけて怖くなったりすることってありますよね。
それが原因で一歩が出なかったり。
明るくポジティブな前向きな言葉を自分にかけても、「大丈夫!」って思いたくても、色々やってみても、そう簡単には不安が消えてくれない日もある。
それでも、きっと大丈夫なんですよね。
「それでも生きていく」、これが大切なのかもしれません。
どんなに不安でも、自分の中にある誠実さや愛、そして困ることすらも抱きしめて、進んでいく。
正解なんて誰にもわからない。
でも自分なりに考えて、人の顔色や意見ではなく、自分で選んで、進んでいく。
そうやって少しづつ、私たちは「オトナ」になっていくんですよね。
上手にできなくても。
それが幸せ、なんだとも思います。
ドラマのセリフに「大丈夫だから」と言ってもらえたかのような夜。
誰かの言葉がこんなふうに心に沁みるのは、私たちがそのぶん、たくさんの経験を重ね一生懸命に生きてきた証なんだと思います。
そして・・・今の自分と未来の自分にそれだけ必要な何かがある、ということなのかもしれませんね。
本日も最後までお読みくださりありがとうございます。
このあともどうぞ素敵な時間をお過ごしください。
心からの感謝と愛を込めて・・
エセンティア 設楽明子