エセンティアの坂井紀子です。
「日々お忙しいでしょうが、合間にお茶を一服どうぞ」
とお茶の席にご招待をいただきました。
茶道のことは知らないことばかりですが、むしろ
「玄関に入るところから教えてください!」
とお願いしましたところ、快く引き受けてくださり、胸をお借りするつもりで訪問いたしました。
和室に入ると、そこは季節に合わせたしつらえの空間でした。
床の間の掛け軸は『無事』
茶花は『椿』
香合(こうごう)は遊び心でクリスマスらしさを演出した『ガラスの器』
掛け軸の無事とは、普段使う『ご無事で何より…』という意味ではないそうで、
『何事も無いことではなく、何もしないこと。
あなたには全てのものが備わっているのだから、
何もしなくていいんだよ』
という意味なのだそうです。
最近よく耳に入ってくる言葉…『唯一無二』が頭に浮かびました。
席につきますと、まず茶菓でおもてなしをいただきました。
主菓子(おもがし)は椿の練り切り
干菓子(ひがし)はクリスマスの和三盆
こちらも季節感があり、どんどん気持ちがあがります。
茶菓をいただいていると、お抹茶の準備が始まります。
指先まで意識が行き届いた流れるような所作は、本当に美しく、思わず見惚れてしまいます。
運ばれてきた茶碗は柊の絵柄
柊の赤い実がお抹茶の緑をぐっと引き立てています。
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「お茶を美味しくいただいてもらえればそれでいいのよ」
というお言葉にホッとし、気兼ねなくその都度いろいろと質問をさせていただきました。
「なるほど〜、そういう意味が…」
ということがたくさんあり、日本人の『和の心』や『おもてなしの心』はやはりいいものだな…、大切にしていきたいな…と、改めて感じるひとときとなりました。
自然のものから季節を感じることは、私が日頃から大切にしている、自分が心地よさを感じることでもあります。
また、茶道のお道具に季節感や縁起を担いだ模様を取り入れることなどは、着物にも通じるところで、日本人の心なのだと感じました。
そうしたおもてなしの心から選ばれたひとつひとつが、最高の空間を作り上げていました。
たいへん心のこもった一期一会の時間をありがとうございました。
心より感謝いたします。