今日は、後ろ姿の話をさせていただきます。
普段、鏡やお店のガラスにふと自分の後ろ姿が映ったとき、はっとした経験はありませんか?
前から見た自分は毎朝しっかり整えていても、後ろ姿までは、なかなか意識が向かないものです。
でも実は、後ろ姿というのは、自分自身では気づきにくいぶん、とても正直に「今の自分」を映し出しているものなのです。
肩が落ちて背中が丸まっているときは、心のどこかに疲れやため息が溜まっているとき。
反対に、すっと背筋が伸びて肩の力が抜けているときは、心にも穏やかな余裕が生まれているとき。
後ろ姿は、いわば心の状態を映す、もう一つの鏡なのです。
面白いのは、後ろ姿というのは他人からしか見えないものだということ。
だからこそ、誰かとすれ違ったあとや、電車を降りて歩き出したあとにも、ふと美しくありたいと願うことは、とても奥ゆかしい自愛の形だと思うのです。
誰にも見られていないと思う瞬間にも、自分自身のために背筋をすっと伸ばしてみる。
それは、見られるためではなく、自分の内側を静かに整えるための、小さな所作なのかもしれません。
装いを選ぶこと、色をまとうこと、香りを添えること。
これまで大切にしてきたたくさんの装いと同じように、後ろ姿もまた、自分を丁寧に扱うための、もう一つの入り口なのですね。