お茶に触れる場所『OCHAVA 茂木園』
創業139年の日本茶の老舗『茂木園』
交差点からも目をひく店舗看板の大きな『茶』という文字は、前橋市出身のフリー書道家・風喜人(ふうきじん)さんの書だとか。
2021年にお茶に触れる場所、『OCHAVA(お茶場)・茂木園』としてリニューアルされました。
「お茶を知る、お茶を学ぶ、お茶を買う場所でありたい」という、四代目の想いを形にされています。
OCHAVAのシンボル
店舗の道路沿いはガラス張りになっており、とても明るく開放感があります。
リニューアルの際に重厚感のある飾り天井をなくし、若い世代の方も気軽に入りやすい、カジュアルな雰囲気にされたそうです。
赤城山の麓の家具店で出会った、一枚板のテーブルに一目惚れしたという四代目。
こちらのテーブルに合わせて床の色や内装を決められたというだけあり、全体としっくりとなじみ、テーブルもとても居心地良さそうです。
お茶を『知る』、『学ぶ』ことが出来るのもこちらのテーブルコーナー。
伝茶人である四代目による『美味しいお茶の淹れ方教室』は無料でリクエスト開催されています。
イートインコーナーも新設され、SNSを見た若い方や市外・県外の方も来店されるようになったとか。
やはり人気は抹茶系のドリンク。オーダーしてからひとつずつその場で作っている本物の味です。
昔ながらの伝統製法『普通蒸し煎茶』
日本茶を選ぶ時『深蒸し』と書いてあるとそれだけで特別感や高級感がありませんか?
私はそう思っていました(笑)が、実はそういうことではありませんでした。
茶葉を作る手順は大きく分けると『蒸す』『揉む』『乾かす』の三つ。
通常の茶葉の蒸し時間は40〜60秒程度。
それに対して硬い茶葉は、柔らかくするために倍以上の120秒ほど蒸すそうで、それを深蒸しと呼ぶそうです。
茶葉に合わせた美味しくする製法のことだとは知りませんでした。
四代目は「個人的には普通蒸しのお茶が好きです。すっきりした何杯でも飲める味が好きなのです。普通というかちょうどいい蒸しですね。」
茂木園さんでは長年オリジナルの茶葉の販売もされています。
同じ畑でも年によって味は変わるので、お客様に美味しく、喜んで飲んでいただけるように全国の茶葉をブレンドされているそうです。
「そこはこだわりですね」と四代目。
ちなみに日本茶をブレンドすることは『合組(ごうぐみ)』と言うそうです。
お茶の葉のこと
冬を超え春に生えてくる葉は新茶になります。
刈り取った後、7月頃出る葉は二番茶。
二番茶を刈った後、9月頃出る葉を三番茶と呼ぶそうです。
お茶の木によしずなどで覆いをして直射日光を当てないようにすると、木が頑張ってアミノ酸の生成が盛んになり、味が濃く、葉は柔らかくなるそうです。
その葉を蒸して、揉まずに切って、石臼で引いたものが抹茶。
抹茶はそのように手間をかけているので高価になるのですね。
「例えば100グラム1,000円のお茶。一杯分の茶葉が2グラムで50杯、そのまま2杯目を入れれば100杯飲めます。ペットボトルのお茶と比べてとてもお得ですよね。でもペットボトルのお茶は敵ではないんです。ペットボトルのお茶がなければ若い人たちはもっとお茶離れしていたかもしれません。」と四代目。
「コーヒーはこだわる人が増えていますが、お茶はまだまだいないですね。昔から日常茶飯事と言われるくらい、お茶は日常すぎて見逃されているのかもしれませんね。」
確かに、私自身もお茶のこと知らなすぎました。
銘仙の街・伊勢崎
群馬の方でしたら伊勢崎市と言えば『銘仙』と思い浮かぶのではないでしょうか。
四代目は「銘仙あっての伊勢崎市。そのノスタルジーやオマージュを込めて商いをさせてもらっています」と仰います。
その一つが『銘仙茶 meisen tea』
四代目女将が「いつか銘仙をデザインしたお茶のブランドを作り銘仙の魅力を伝えたい」とずっと温めていた想いを形にされました。
一日の暮らしの中で、時間帯や気分に合わせて選べる5種類のフレーバーをティーパックに。
朝にはさわやかな煎茶、ほっと一息の時は香ばしい玄米茶、他には紅茶やほうじ茶なども。
それぞれに合わせた銘仙柄のパッケージもカラフルで素敵です。
ちょっとしたプレゼントにもぴったりですね。
また店内には銘仙のテディベアが。
こちらも銘仙を目にする機会を増やしたい、という想いを持たれた方の作品です。
銘仙のカラフルさが活かされていますね。
店内には女将セレクトの食器類も取り揃えられ、センスの良さが光るコーナーになっています。
エセンティアから皆さまへ
四代目が仰るとおり、お茶は身近すぎて意識してこなかったのでしょう。
知っていそうで知らないことがたくさんありました。
茶葉の育て方から、蒸し方、種類など詳しく教えていただき、もっとお茶のことを知りたくなり、茂木園さんで人気のオリジナル茶『雪あさま』を購入してみました。
いつしか急須でお茶を淹れることが面倒というイメージになっていた私…
久しぶりに淹れてみてびっくり。とても簡単でした。
コーヒーは豆を挽いて淹れているので、あっという間に淹れられる煎茶がとても手軽になっていました。
今では朝の食後とランチ用にボトルで持参し、美味しくいただいています。
煎茶にはコーヒーと違う…カラダにしみ込むようなやさしさを感じます。
日本人だからでしょうか。
皆さまも茂木園さんのこだわり『普通蒸し煎茶』を召し上がってみませんか。
また、お茶うけにおすすめなのが『花豆・塩あま納豆』。
塩気が絶妙で大粒の花豆は一粒でも食べ応えがあります。
イートインのおすすめは『ほうじ茶黒蜜ミルク』。
黒蜜が甘すぎず後味すっきり。
『シャカシャカ冷抹茶』は抹茶と水のみで作られているので抹茶本来の味を楽しめます。
秋冬は温かいメニューもいいですね。
オーナーさんご紹介
「ここまで生きてこられたのは商売をしてきてくれた両親、ご先祖、そして通ってくださるお客様のおかげです。ここからは恩返しだと思っています。直接返せない方もいらっしゃるので恩送りという形も含めて。」
地域・街の方々の幸せのお手伝いをしていきたい、と行動されています。
その一つがお茶の啓蒙活動。
これを次の世代の子供たちにもしていくことが、商人としての恩返しのひとつと捉えていらっしゃいます。
「小さな幸せをお届けすることを使命として、自分の人生を綺麗なゴールとして迎えるために、やれることをやっていく」と。
四代目が仰る小さな幸せとは、お茶を飲んで「美味しいね」と笑顔になれること。
『お客様を幸せに』という経営理念を体現されている四代目です。
店舗情報
OCHAVA 茂木園
住所 | 〒372-0047 群馬県伊勢崎市本町20-1 SOAビル1F |
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Phone | 0270-25-0174 |
営業時間 | 10:00~18:30 |
定休日 | 月曜・元旦 *年末年始、G.W は休まず営業 |
ホームページ | https://www.mogien.co.jp/ |
(坂井 紀子)